はじめに
近年、全国各地で悲惨なDV(ドメスティック・バイオレンス)事件が報道され、社会問題としての関心が高まっています。たとえば、千葉県で起きた小学生の虐待死事件は、多くの人々に衝撃を与えました。筆者も娘を持つ親として、このようなニュースを目にするたびに胸が締め付けられる思いです。
本記事では、「DVとは何か?」という基本から、「DVの特徴」「被害者が取るべき行動・対策」「公的支援制度の活用方法」まで、分かりやすく丁寧に解説していきます。DVは決して他人事ではなく、誰の身にも起こりうる問題です。正しい知識を持ち、適切な行動を取ることが、自分や大切な人を守る第一歩となります。
目次
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DVとは?その定義と背景
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DVの主な特徴と種類
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DV被害を受けた際の対策
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DV相談窓口・支援機関の活用方法
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生活保護とDV支援の連携について
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弁護士に相談するメリット
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被害者として絶対に知っておきたいこと
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まとめ:DVを我慢せず、正しい支援を受けよう
1. DVとは?その定義と背景
DVとは「ドメスティック・バイオレンス(Domestic Violence)」の略称で、配偶者や恋人、親子、同棲相手など親密な関係にある者から振るわれる暴力を指します。
法的な定義(配偶者暴力防止法より)
日本においては、「**配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(通称:DV防止法)」**に基づき、以下のように定義されています。
配偶者(事実婚・元配偶者を含む)からの身体的暴力・精神的暴力などを指し、被害者の安全を守るために、警察や行政が保護を行う。
DVは単なる「喧嘩」や「意見の相違」ではありません。相手を支配・コントロールするために行われる暴力行為であり、暴力の対象や形も多岐にわたります。
2. DVの主な特徴と種類
DVの特徴は、加害者が暴力によって被害者を支配し、自由を奪うことにあります。暴力の形態は多様で、以下のように分類されます。
2-1. 身体的暴力
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殴る・蹴る・髪を引っ張る
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物を投げる・刃物などで脅す
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首を絞める・押し倒す
2-2. 精神的暴力(モラルハラスメント)
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無視する・暴言を吐く
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人格否定・侮辱・脅迫
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交友関係や行動を制限する
2-3. 性的暴力
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性行為の強要
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避妊の強制や拒否
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性的な侮辱や嫌がらせ
2-4. 経済的暴力
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生活費を渡さない
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働くことを妨げる
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勝手に借金を背負わせる
2-5. 社会的隔離
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実家・友人との連絡を禁じる
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携帯電話・SNSの監視
3. DV被害を受けた際の対策
DVの被害に遭ったら、一人で抱え込まず、速やかに専門機関に相談することが重要です。
3-1. まずは安全確保を最優先に
暴力がエスカレートして命の危険を感じたら、迷わず警察(110番)に通報しましょう。避難先として「シェルター」の利用も可能です。
3-2. DV相談窓口に連絡
各都道府県の「配偶者暴力相談支援センター」では、DVに関する相談を受け付けており、法律・福祉・生活支援など総合的なサポートが受けられます。
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【全国共通】DV相談ナビ:0570-0-55210(ゴーゴーニオウ)
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24時間対応のLINE相談も開始されています。
3-3. 証拠の保全が重要
後に保護命令の申請や、離婚・慰謝料請求などを行う際、証拠が必要です。以下のような証拠を保管しておきましょう。
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暴力の写真・録音・動画
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病院の診断書
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警察への相談記録
4. DV相談窓口・支援機関の活用方法
DV被害者を支援する制度は数多く存在します。以下に、利用できる公的機関と支援の一例を紹介します。
主な支援機関
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女性相談センター
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児童相談所(子どもが被害を受けている場合)
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福祉事務所
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NPO法人(例:全国女性シェルターネット)
受けられる支援
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一時保護(シェルター提供)
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法律相談の紹介
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医療機関への同行
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精神的ケア(カウンセリング)
5. 生活保護とDV支援の連携について
DV被害により生活困窮に陥った場合は、「生活保護制度」の利用も可能です。
5-1. 生活保護申請の手順
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住民票のある市区町村の福祉事務所に相談
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DV被害による収入減・生活困難を説明
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必要書類を提出し審査を受ける
※DV被害者は「別世帯扱い」となり、配偶者の収入は関係なく支援が受けられます。
5-2. 市役所窓口での対応に不安がある場合
相談先の窓口に不安がある場合は、支援団体や弁護士を通じて同行支援を依頼すると安心です。弁護士による「生活保護の受給支援」にも対応している場合があります。
6. 弁護士に相談するメリット
DV被害は法的手続きを要する場面も多く、弁護士への相談は非常に有効です。
相談可能な内容
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離婚手続き・慰謝料請求
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子どもの親権・養育費
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保護命令の申立て
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刑事告訴の検討
法テラスの活用
経済的に余裕がない方は、「法テラス」を通じて、無料法律相談や弁護士費用の立替制度が利用できます。
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法テラス電話番号:0570-078374
7. 被害者として絶対に知っておきたいこと
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暴力は犯罪行為であり、我慢すべきものではありません。
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「一度きりの暴力」でも、被害者が苦痛を感じたなら、それはDVです。
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加害者が「謝罪」や「反省」を口にしても、再発率は非常に高いとされます。
8. まとめ:DVを我慢せず、正しい支援を受けよう
DV(ドメスティック・バイオレンス)は、心身ともに被害者を傷つける重大な人権侵害です。どんな理由があっても、暴力は許されません。被害に遭っている方は、一刻も早く相談窓口に連絡し、自分と家族の安全を確保しましょう。
我慢し続けることで、状況はさらに悪化する可能性があります。日本全国には、あなたを支えるための制度や支援機関が整備されています。「助けて」と言うことは、決して恥ずかしいことではありません。
参考リンク
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内閣府「配偶者からの暴力(DV)対策」:https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/index.html
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全国の配偶者暴力相談支援センター一覧:https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/soudankikan.html